勤務先のクリニックは港が近い所にあるせいか、船員保険の患者さんも受診されます。
船員保険については医療事務講座でも習いますが、乗船中・職務上or職務外・下船3か月と特殊なので実務でやってみないとなかなか定着しませんね。
私も数回しか経験ないのでおさらいしておきたいと思います。
乗船中の病気の療養補償(職務外)
船員保険は法令番号02で始まるもので社保扱いになります。
今回は「乗船中に発生した職務外の病気やケガ」についてです。
原則として乗船中に発生した職務外の病気やけがについて下船日(療養を受けることが出来る状態になった日)から3カ月後の応当日の前日の属する月の末日までの間は医療機関に(院外処方の場合は調剤薬局にも)「船員保険療養補償証明書」を提出することにより保険診療分について自己負担なしで療養を受けることが出来ます。
出典:全国健康保険協会 船員保険部より
他の保険と違う所は「乗船中に発症した職務外の病気やケガは下船後3か月までは補償する制度」があることです。
他の保険と同じで職務上の事由による病気やけがは労災保険で請求しますが、職務外の病気やけがについては「船員保険療養補償証明書」を提出することで10割給付になります。
勉強中は船員保険=下船後3カ月は10割給付と勘違いしていましたが、割と複雑なので経験がないと理解が難しいです。
対象外となる場合
下船後3カ月であってもすべての受診において10割給付となるわけありません。
対象外となるものは以下の通りです。
- 職務上の病気やケガ(労災扱い)
- 乗船前から発症しており治療中の病気やけが
- 「船員保険療養補償証明書」に記載されている傷病名以外の傷病の受診
- 「船員保険療養補償証明書」の提出がない場合
乗船前から発症している傷病については「乗船中に発生した病気やけが」のルールから外れるので補償の対象とはなりませんし、保険証が船員保険でも証明書をもってない場合は普通に7割給付で請求します。
入院時の食事代
診療代は自己負担額なしですが、食事代はどうなるのでしょうか。
食事代だけは自己負担になるのかと思って請求書を準備していましたが、上司に指摘されてしまいました。
調べてみたら船員保険会の資料に書いてありました。
入院時食事療養費
本人(下船後3月の療養)=全額給付となり自己負担はありません。
出典:船員保険給付のあらましp12より
食事代も自己負担なしで請求なんですね。
特定疾病や厚生医療などは食事代は自己負担があったので船員も・・・という思い込みでした。
受付で確認する事項
「船員保険療養補償証明書」を持参されたら必ず以下を確認します。
- 本人欄・・・保険証と記号番号、氏名、生年月日、資格取得年月日等を相違がないか必ず確認します。
- 傷病名を確認します。傷病名と異なる疾病での受診は対象外になります。
- 下船後三月満了年月日を確認します。満了年月日を過ぎている場合は7割給付になります。
特にレセプトに添付しないといけないという決まりはないようなので、証明書を確認したら私の職場ではコピーを取ってお返ししています。(コピーはカルテに貼っています。)
レセプト上の処理
上記のように職務上の事由の「下船後3月以内」に〇をつけます。(手書きの場合)
電子カルテの場合は患者情報入力時に職務上の欄で「下船後3月以内」を選択すると特記事項の欄に「2下3」と表示されます。
電子カルテメーカーによって操作は違いますが、おおまか流れは同じだと思います。
まとめ
医療事務試験では学科でよく選択問題として出てきます。
実務でも役に立つ内容ですので押さえておきましょう。